【2026年版】無料のサチュレーターを、正直に比べる(押すだけで手に入るのは、どれか)

無料のサチュレーターを、正直に比べる ミックスの困りごと

ミックスが、なんとなく薄い。音は揃っているのに、前に出てこない。

調べると「サチュレーター」という言葉が出てきます。足りないのは”歪み”だと。

そこで「無料 サチュレーター」で調べて、いちばん上に出てきたものを押した。アカウントを作れと言われた——。

★★★ この記事は、そこを先に書きます。音の good/bad より前に、そもそも押すだけで手に入るのかです。

★ 私は Windows 向けの無料プラグインを作っている者です。★ EQ・コンプ・リミッター・ディエッサーの4種で、この記事に出てくるものは作っていません。


★★ そもそもサチュレーターは何をするのか

★ ここまでの記事で扱ってきた道具は、すべて「整える」道具でした。

EQ      … 多いところを減らす
コンプ   … 大小の差を詰める
リミッター … 天井を超えないようにする
ディエッサー … サ行だけ抑える

★★★ サチュレーターだけが「足す」道具です。

ほんの少しだけ歪ませて、無かった倍音を作ります。その結果——

  • ★ 音量を上げずに、大きく聞こえる
  • ★ 細い音に芯ができる
  • ★★ デジタルっぽさが減る

★★ 「テープ」系も仲間です。テープに録ったときの歪みと、高域の丸まりを真似たもので、サチュレーションの一種だと思って構いません。


★★★ 手に入れ方が、いちばん違います

★ 音の話の前に、ここを表にします。他の記事には書かれていません。

押すだけで落ちるか実測(2026年9月6日)
★★ Klanghelm IVGI★★★ 落ちます(登録なし)ZIP 4,700,073 bytes
★★ CHOW Tape Model★★★ 落ちます(GitHub)exe 10,646,528 bytes
Softube Saturation Knob★★ 落ちませんアカウント作成+専用アプリが要ります
Techivation T-Saturator★ 落ちませんアカウント登録が要ります
★★★ CamelCrusher★★★ もう手に入りません公式サイトが別の会社のページへ転送されます

★★ どれも「無料」です。ただし必要なものが違います。そこだけ先に知っておいてください。


Klanghelm IVGI ─ ★★ まずこれ。押すだけで落ちます

→ 公式: https://klanghelm.com/contents/products/IVGI.html

公式に freeware と明記されています。アカウントも、メールアドレスも要りません。ボタンを押すと、そのまま落ちてきます。

  • 2.5.0(同梱の changelog より 2023年1月24日)
  • ★ 取得した ZIP は 4,700,073 bytes。中身は IVGI2-installer.exe 1つ
  • Windows / macOS の両方があります

★★ 音は「うっすら」が得意です。マスターに薄く掛けて、全体に芯を出すのに向いています。★ 入力の大きさに応じて反応が変わる作りなので、掛けっぱなしでも不自然になりにくいです。

★★★ 同じ会社の無料は、実は4本あります。IVGI(サチュレーション)・DC1A(コンプ)・MJUC jr.(チューブコンプ)・TENS jr.(スプリングリバーブ)★ 上位記事はどこも IVGI しか挙げていませんが、4本ともあります。


CHOW Tape Model ─ ★★ 「テープ」が欲しいならこれ

→ 公式: https://chowdsp.com/products.html#tape

テープレコーダーの物理モデルです。★ オープンソース(GPL-3.0)で、中身が公開されています。GitHub の星は 1,421。

  • 2.11.4(2023年11月5日)。★ 取得した exe は 10,646,528 bytes
  • ★ 公式の説明に VST3・AU・CLAP・LV2、Windows / macOS / Linux の記載

★★ テープらしい効きが、はっきり出ます。

  • サチュレーション(歪み)
  • ★ ワウ・フラッター(テープのゆれ)
  • ★ 高域の丸まり

★ 掛けすぎると、すぐ分かります。それが良いところでもあります。まず強く掛けて、戻してくるのが分かりやすいです。

★★ 不利なことを書きます。最終リリースは 2023年11月です。★ 開発そのものは続いています(2025年4月にも更新が入っています)。


Softube Saturation Knob ─ ★★ 定番。ただしアカウントが要ります

→ 公式: https://www.softube.com/plug-ins/saturation-knob

★★★ 「無料 サチュレーター」で、いちばん多く名前が挙がるのがこれです。つまみが1つと、3つのモードだけ。迷いようがありません。

★★ ただし、押すだけでは手に入りません。公式にこう書かれています。

Saturation Knob は Softube Central で無料で入手できます。

アカウントを作るかログインして、Softube Central をダウンロードしてください。

(公式ページより。2026年9月6日に確認)

★ つまり——

1. Softube のアカウントを作る(メールアドレスが要ります)
2. 専用アプリ「Softube Central」を入れる
3. その中から Saturation Knob を入れる

★★ 悪いという話ではありません。手間の量が他と違う、という話です。★ 公式に VST3・AAX・AU、Windows / macOS の記載があります。


Techivation T-Saturator ─ ★ 新しい。会員登録が要ります

→ 公式: https://techivation.com/t-saturator/

2024年に出た、新しい無料サチュレーターです。公式に FREE と明記されています。

★ 入力の大きさに左右されにくい作りだと説明されています。★ 公式に VST3・AAX・AU、Windows / macOS の記載。

★★ こちらも、会員ページを通ります。サイトに「My Account」「Redeem Free Plug-ins」があり、登録してから受け取る形です。


★★★ CamelCrusher ─ もう手に入りません

★★ 1年前の記事にも「無料とは思えない完成度の名機」として載っています。実際、長いあいだ定番でした。

★★★ ですが、2026年9月6日に確かめたところ、公式サイト camelaudio.com は別の会社の製品ページへ転送されました。開発元がもう存在しません。

★ どこかに転がっているファイルは見つかるかもしれません。ただし——

  • 公式の配布ではありません
  • サポートも更新もありません
  • ★★ 中身が元のままである保証もありません

★★★ これから始める人には勧めません。

★ このブログでは、同じことが何度も起きています。「無料」として紹介され続けているのに、実際には手に入らないもの——リミッターの記事でも、ピッチ補正の記事でも見つかりました。紹介する前に、自分で押す。それだけで防げます。


★★ 使い方は「ほんの少し」

★★★ サチュレーターで失敗する原因は、ほぼ全部「掛けすぎ」です。

やること目安
★★ 量★★★ かかっているか分からないくらい。分かった時点で掛けすぎです
どこに挿すか★ まずボーカルかベース。1トラックずつ
★ マスターに挿す★★ うっすらだけ。掛けると全部に効きます

★★ 必ず、音量を揃えて比べてください。サチュレーションは音量が上がったように感じさせるので、揃えずに比べると、必ず「良くなった」と錯覚します。

★★★ 足す前に、引けないか考えてください。「薄い」と感じる原因が帯域の渋滞なら、サチュレーションでは直りません。

→ ミックスがこもる。EQで直るこもりと、直らないこもり

★ 要らない場合も書いておきます。すでに歪んでいる音(ギターのアンプ、ドラムのサンプル)には、たいてい要りません。


★ 選び方

こういう方おすすめ
★★★ とにかく試したい(登録したくない)★ Klanghelm IVGI。押すだけで落ちます
テープの質感が欲しい★ CHOW Tape Model
つまみ1つがいいSoftube Saturation Knob(★ アカウントと専用アプリが要ります)
新しいものを試したいTechivation T-Saturator(★ 登録が要ります)
★ まず DAW を見たい★★★ それが正解です。サチュレーションや「ドライブ」は、多くの DAW に入っています

まとめ

  • ★★★ 「無料」でも、押すだけで手に入るとは限りません
  • ★ 押すだけ:Klanghelm IVGI / CHOW Tape Model
  • ★ アカウントが要る:Softube Saturation Knob(+専用アプリ)/ Techivation T-Saturator
  • ★★ もう手に入らない:CamelCrusher(公式サイトが別会社へ転送)
  • ★★ サチュレーターだけが「足す」道具。EQ・コンプ・リミッターは「整える」道具です
  • ★★★ 掛けすぎが失敗の原因。分かった時点で掛けすぎです
  • ★★ 音量を揃えて比べる。揃えないと必ず錯覚します
  • ★ すでに歪んでいる音には要りません

★ 整える側の道具は、こちらに書きました。

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